美容師の予定納税とは?7月31日期限と払えないときの対処法

美容師の予定納税の納付期限をイメージしたシザーとカレンダーのイラスト

6月に税務署から「予定納税」の通知が届いて、戸惑っていませんか。第1期分の納付期限は7月31日です。この記事では、予定納税のしくみと納付方法、払えないときの対処法を、フリーランス美容師向けにやさしく解説します。

予定納税とは?所得税の「前払い」制度です

予定納税とは、今年の所得税の一部を前もって納める制度です。前年の確定申告の内容をもとに、税務署が金額を計算します。「去年このくらい税金を納めた人は、今年も同じくらいになるはず」という考え方で、先に分割で納めておくイメージです。

確定申告のときに1年分の税金をまとめて納めるのは、負担が大きいものです。予定納税は、その負担を年3回に分ける役割も持っています。7月と11月に前払いし、残りを確定申告のときに納める形です。

対象になるのは、「予定納税基準額」が15万円以上の方です。予定納税基準額は、多くの場合、前年分の確定申告で納めた所得税の金額(申告納税額)がそのまま当てはまります。なお、事業の利益とは別の臨時的な所得(資産を売ったときの所得など)は、除いて計算されます。

納める回数は年2回です。予定納税基準額の3分の1ずつを、第1期と第2期に分けて納付します。

区分納付する額納付期間(令和8年)
第1期分予定納税基準額の3分の17月1日〜7月31日
第2期分予定納税基準額の3分の111月1日〜11月30日

対象になる方には、6月中旬に税務署から「予定納税額の通知書」が届きます。確定申告のときに通知書の電子交付を希望した方には、書面は届きません。代わりにe-Taxのメッセージボックスに通知が入っているので、確認してみてください。

ここで大事なのは、予定納税は「追加の税金」ではないことです。あくまで今年の税金の前払いで、来年の確定申告で必ず精算されます。

売上が伸びた美容師に、ある日突然届きます

売上が伸びたフリーランス美容師に予定納税の通知が届くイメージイラスト

予定納税の通知が届きやすいのは、収入が伸びてきたフリーランス美容師です。具体的には、次のようなケースです。

  • 業務委託サロンで指名売上が増え、前年の申告で所得税を15万円以上納めた
  • 面貸しに移って客単価が上がり、前年の利益が大きく伸びた
  • シェアサロンでの営業が2年目以降になり、売上が安定してきた

数字のイメージも見てみましょう。たとえば前年の確定申告で、所得税を21万円納めたとします。この場合、予定納税基準額は21万円です。15万円以上なので、予定納税の対象になります。

納める額はその3分の1ずつです。第1期に7万円、第2期に7万円を前払いすることになります。

なお、通知書の金額の計算のもとになるのは、あくまで前年の実績です。今年の売上がどうなりそうかは関係なく、機械的に計算されて届きます。

逆に、開業したばかりの1年目は、前年分の申告納税額がありません。そのため、原則として予定納税の対象にはなりません。「2年目の夏に初めて通知が届いて驚いた」という美容師さんが多いのは、このためです。

確定申告を終えた3月の時点では、7月の予定納税まで意識が回らないものです。売上が伸びた年の翌年は、夏と秋に税金の前払いがあるかもしれない。これを頭の片隅に置いて、毎月の売上から少しずつ税金用のお金を取り分けておくと、通知が届いても慌てずにすみます。

なお、通知が届いていない方は、基準額が15万円未満で対象外である可能性が高いです。

7月31日までにやること・納付方法の選び方

まずは通知書の「第1期分」の金額を確認しましょう。納付までの流れは次のとおりです。

  • 通知書(またはe-Taxのメッセージボックス)で第1期分の金額を確認する
  • 自分に合った納付方法を決める
  • 7月31日までに納付を済ませる
  • 納付の記録(領収証書や決済履歴)を保管しておく

納付方法は、主に次のものがあります。

  • 振替納税:登録済みなら、7月31日に口座から自動で引き落とされます
  • ダイレクト納付:e-Taxから口座引き落としで納付します(事前の届出が必要です)
  • インターネットバンキング:ネットバンキングから電子納税できます
  • クレジットカード納付:専用サイトから納付します(決済手数料がかかります)
  • スマホアプリ納付:Pay払いで納付します(納付税額30万円以下の場合に使えます)
  • 窓口納付:納付書を使って、金融機関や税務署の窓口で納めます

振替納税を使っている方は、あらためての手続きは不要です。ただし、7月31日に残高が足りないと引き落としができません。その場合は期限に遅れた扱いになり、延滞税がかかることがあります。前日までに口座の残高を確認しておきましょう。

これから振替納税を使いたい方は、「振替依頼書」の提出が必要です。ただし、手続きの処理には時間がかかります。今回の第1期分には間に合わないことがあるため、今回はほかの方法で納付し、第2期分から振替納税に切り替えるのも一つの方法です。

e-Taxで通知を受け取った方には、納付書は送られません。その場合は、ダイレクト納付やスマホアプリ納付などのキャッシュレス納付を使いましょう。

また、納めた所得税そのものは、シザーやカラー剤のような経費にはなりません。帳簿をつけるときは、事業の経費と混ぜないように注意してください。

7月は、面貸し料や材料の仕入れの支払いと重なりがちな月です。通知書が届いたら、納付額と期限をすぐスマホにメモしておくと安心です。

売上が落ちていて払えないときは「減額申請」

予定納税の減額申請書を準備する美容師をイメージしたイラスト

「去年より明らかに売上が落ちているのに、去年ベースの税金を前払いするのは苦しい」。そんなときのために、予定納税には減額申請という制度があります。

休業や業況不振などで、今年の税額の見積りが予定納税基準額より少なくなる見込みのとき、「予定納税額の減額申請書」を税務署に提出できます。承認されると、予定納税額を減らしてもらえます。

たとえば、体調を崩して営業日を減らしている場合や、サロンを移って一時的に客数が減っている場合です。今年の所得の見積りを計算して、税額が基準額より下がりそうなら申請を検討しましょう。

申請できる期間は、次のように決まっています。

申請の種類提出期間見積りの基準日
第1期分と第2期分の減額7月1日〜7月15日6月30日の現況
第2期分のみの減額11月1日〜11月15日10月31日の現況

注意点があります。第1期分の減額申請は、7月15日ですでに締め切られています。今から第1期分の金額を減らすことはできません。いま資金繰りが苦しい場合にできることは、次の3つです。

  • 第1期分は期限内に納付する(納めた分は確定申告で精算され、多すぎた分は戻ってきます)
  • どうしても納付が難しいときは、放置せずに早めに税務署へ相談する
  • 後半も売上減が続きそうなら、11月1日〜15日に第2期分のみの減額申請をする

減額申請書は、書面のほかe-Taxでも提出できます。申請には今年の売上や経費の見積りが必要になるため、日々の帳簿づけができていると手続きがスムーズです。どこまでが経費になるか迷う方は、美容師の経費の考え方も参考にしてください。

納付を忘れるとどうなる?確定申告での精算まで

納付期限に遅れると、期限の翌日から納付する日までの延滞税がかかります。延滞税の割合は年によって変わるため、最新の割合は国税庁サイトでご確認ください。遅れに気づいたら、できるだけ早く納付することが大切です。

そして、予定納税は来年の確定申告で必ず精算されます。確定申告書には、その年に納めた予定納税額(第1期分と第2期分の合計)を記載する欄があります。ここを書き忘れると、前払いした分が税額から差し引かれません。国税庁も、記載忘れに注意するよう案内しています。

実際の税額が予定納税額より少なかった場合は、払いすぎた分が還付されます。先ほどの例で見てみましょう。第1期と第2期で合計14万円を前払いした人の、確定申告で計算した税額が12万円だったとします。この場合、差額の2万円は戻ってきます。予定納税をした年の確定申告は、「納める申告」ではなく「精算する申告」になることも多いのです。

もう一つ、夏は住民税や国民健康保険料の支払いも続く時期です。これらは予定納税とは別の税金・保険料です。予定納税を納めても、住民税や国保の支払いがなくなるわけではありません。納付書ごとに何の支払いかを確認して、混同しないようにしましょう。

通知書は捨てずに保管し、確定申告のときに手元に用意しておきましょう。予定納税の記載も含めて確定申告をまるごと任せたい方は、確定申告の代行サービスのページをご覧ください。

よくある質問

最後に、フリーランス美容師の方からよくいただく質問をまとめました。

通知書が届いていません。私は予定納税の対象ですか?

予定納税基準額が15万円未満の方は対象外のため、通知書は届きません。なお、確定申告で通知書の電子交付を希望した方には、書面ではなくe-Taxのメッセージボックスに通知が届いています。心当たりのある方は、一度メッセージボックスを確認してみてください。

予定納税を払うと、確定申告で税金を二重に払うことになりませんか?

二重払いにはなりません。予定納税はあくまで前払いで、確定申告で計算した税額から差し引いて精算します。前払いした額のほうが多ければ、差額は還付されます。確定申告書に予定納税額を記載する欄があるので、書き忘れにだけ注意してください。

開業1年目の美容師にも予定納税はありますか?

予定納税は前年分の申告納税額をもとに計算されるため、開業1年目は原則として対象になりません。売上が伸びた2年目以降の6月に、初めて通知が届くケースが多いです。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

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